君のすべてが見たかった


「あるよ。うちのオリジナル。林檎で作った天然酵母さ。」


パン屋の店主は気さくな人で、それを分けてくれるという。


「いいんですか? ありがとうございます。」


ミチとケイはお互いがお互いを小突きながら、うれしさのあまり小躍りした。


「いいよ。でもうちのより美味しいヤツ作っちゃダメだよ。」


「ハイ。でもこのレシピ通りに作りますから、多分とびきりのヤツは出来る予定ですが…!」


「いいねー兄ちゃん。明日もまた来なよ二人で。」


店主は満面の笑みを絶やさずに二人を見送ってくれた。


―この人は接する人を温かい気持ちにさせる名人。


使う言葉も優しいけど、抑揚が心地よいのよね。


「ケイ。良かったね。野菜も選ぼ。」


ミチはケイの腕をしっかりと掴んでいた。




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