どういってあるきだす俊。
優しいのか冷たいのか。
でも、きっとそこが好きなんだと思う。
そんなことを考えながら俊の後につづく。
中はごく普通の水族館と変わりはない。
ただ、人が少ないだけ。
いろんなものをみてまわって昼食をとってから小さいけどイルカショーとペンギンショーをみて水族館をでたのは4時。
「たのしかった~。俊、ありがとね」
「別に。ちょっとつきあえ」
そういうとあたしの腕をひっぱって坂の上をずんずん登っていく。
細い道にはいりその道をたどってくと向こう側に木の柵がみえた。
その奥には少し離れた場所からでもわかるくらいにきれいな海の色とすこし赤がかかりはじめた空の色。
「わ~。きれい」
「だろ。ここ、一番すきなんだよ」
ふ~ん
何時間いても飽きそうにない。
なにか話したりすることもなく1時間がたったとき。
「華は好きなやついんの?」
いきなりきいてきた。
「ん。いる、かな」
「そっか。俺もいる」
それを聞くと胸が痛い。
「だれ?」
本当は聞きたくもないこと。
なのに勝手に口がうごく。