「一度、あなたとお話ししたかったの。華さんですよね?」


「・・・えっと、そうですけど。ごめんなさい、あたしはあなたと話すことはありません。」


そういいながら横をとおりすぎようとして紙袋の存在にきづいた。


「これ、あたしの部屋にありました。たぶん、俊のものです。きっと、あなたにあげるために買ったんだと思います。あたしからっていうのもいやかもしれないけど、受け取ってください」


むりやり女の人にそれをわたして溢れてきそうな涙を流さないように目に力をこめていそいでエレベーターにかけこむと一気に涙がでてくる。


馬鹿だ。


あたし、なにやってるんだろう。


そのまま美緒さんの車にのって仕事場まで小奈美に励ましてもらった。