「オリオン座を見に来た」
そう言ったのは、昼間に見た来宇だった
「ここの星見て!キレイだから」
驚いた・・・
俺と同じこと思ってるやついるんだな
ここに星座を見に来るやつは今まで一人しか知らない
でもその一人も今はいない
「俺も、同じ理由」
「えっ?本当に?」
「あぁ」
目を丸くしてジッと俺を見つめる
「なんだよ、見てんなよ」
「あっ、ごめん」
それから10分ぐらい沈黙が続いた
沈黙というか、二人はオリオン座に見とれていたのだ
「ねぇ、どうしてオリオン座が好きなの?」
沈黙を破り、急な質問を俺に投げかけた
「死んだ母さんが教えてくれた初めての星座だから」
「お母さん?」
「あぁ、お前もどおせ高三になってマザコンとか思うんだろ」
俺はこの話は高三になるまでに、聞かれたら隠さず話している
みんなマザコンなど、からかわれる事が多かった
だから、コイツもそう予想していた
でも、言葉すら聞こえない
そんな引くか?
オリオン座から目を離し、来宇の方を見る
来宇はオリオン座を見ながら一筋の涙を流していた
それは、なぜか綺麗だった
「俺、泣かす事言った?」
「違うの」
「どうした?」
「あまりにも、同じ理由だったから」