キーンコーンカーンコーン

学校中に聞き慣れた
チャイムの音が鳴り響いた

――ガラッ

「おはようございます」
1年B組の担任が
チャイムと共に教室に入ってきた

「じゃー出席取るぞー……朝鞍(あさくら)―」
「はい」

「天乃ー」
「先生!!天乃くんまだ来てません」

学級委員の朝鞍さんが手を挙げた

「そぉか……じゃああいつは留年って事で♪」

「次ー板お…」
――ガラッッ!!!

教室のドアが勢いよく開かれた
クラス中の視線が集まり

その視線の先には息を切らした煉と萩兎がいた

「ハァハァハァ……天乃萩兎……います!!」

萩兎が返事をすると
担任はニコリと笑った

「おー遅かったなぁ天乃 神世
天乃は後ちょっと遅かったら
留年だったのにww
残念だなぁww」

言葉とは裏腹に
担任の目は笑っていなかった

「じょ…冗談きついっすよ…」萩兎の顔がひきついた

「ハハハハハ」

「……忠告……したのに……」
クラス中が笑う中
無表情で雪音がボソリと呟いた

「あぁサンキューな雪音」
撫でようと手を伸ばすと

「煉も……一緒だったんだ…」
雪音は萩兎を避けて
後ろにいた煉を見つけると
少し微笑んだ

「おっす…」
「僕……煉に…電話した……でも…繋がらなくて……」

雪音は突然泣きそうな顔になった
「!!! わっわりぃ…ありがとな」

煉は雪音を宥めようと頭を撫でた

すると雪音は
犬が飼い主に頭を撫でられたかの様に
嬉しそうに笑った

クラス中に変な空気が流れた

「ずいぶん俺との態度違くね?!まぁどーでもいいけど……
っつかおまえケータイどーしたんだよ??」

「え??あぁ」

煉はケータイを探そうとバッグやポケットを探したが
何処にもケータイの姿はなかった

「あれ??ない……」
「え?? どっかに落としたか?」
「たぶんな……もしかして…ぶつかった時かも……」

「あぁ!あん時か!!じぁ放課後いって……」
―ベシッ

「おまえらいい加減席座れや」「「……はい……」」

担任に叩かれ
強制的に会話が中断された
「あぁあと……」

何かを思い出した様に担任が萩兎の顔を見ると
最高の笑顔で

「天乃は放課後…俺の雑用係だからな♪」

「!!!なんでだよ!!!」
萩兎が反抗すると