着いた役所は周りとは比べ物にならないくらいに立派な建物だった。
男は着くなり、手続きのようなところで話をしていた。

私、どうなるんだろう…。

不安が増していくばかり。

何もしていないのに異国の地に流されてそのまま死刑?
そんなの絶対におかしい。
まず、なんでルーナとかいうところに来てしまったのかを知りたい。
劇の台詞を覚えられなかった罰ですか?

その場でまだ話している男を立ちつくして見ていると

「君が異国から来たという人かね?」

いかにもお偉いさんだと思われる、真っ白な髭を生やした優しそうな顔のおじいさんが話しかけてきた。
『はい』と言った時点で閉じ込められること決定のような気がしたから返事はしなかった。
でも、それがいけなかったのか…

「聞いているんだ!!君は異国人だろう!?」

さっきまでの優しそうな顔が急に怖くなり、私の髪の毛を掴んだ。

「痛い!!辞めてください!!」

髪の毛を掴んだまま、歩き出した。

閉じ込められるの?!
嫌だよ…。
私まだ恋とかもしたかったのに…。

すると、またさっきの川に溺れた時のような感覚に陥った。
ふわりと身体か浮き上がる気がする。
向こうの方でさっきのおじいさんが呼んでいる。

その瞬間、意識はまたプツリと消えた。