冷たい水が全身を押し流していく。
激しい水流で、濁った水がゴボゴボと口のなかに流れこみ、息ができなくなる。
視線の端に、ほんの一瞬白い紙切れをとらえ、途端、それでわずかに気が緩んだのか、意識が遠のく。
(死ぬんだ…)
刹那、奇妙なことが起きた。
ふわりと身体か浮き上がったような錯覚にとらわれれ、先程までの濁流が嘘のように止んだ。
音の無い、どこまでも透き通る青の世界。
(なん…で……)
そのなかを、唯一ゆらゆらと漂う紙切れに手を伸ばしながら、わたしは意識を手放した。
SA
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