桃said

「あ、羽鳥!どしたの?サボり?」

図書室に羽鳥が入って来た。

「おー。暇だったからさ」

「ねぇ、あの本とって」

あの「難しい本」を羽鳥は背伸びして取ろうとした。

背の低い羽鳥は体勢を崩し、後ろへ倒れこんだ。

「ちょっ…重いよ、羽鳥!」

「ごめっ…」

重なった2人の体。

急に意識してしまう。

「…はやくどいてよ」

「やだって言ったら?」

…何がしたいのよ。

「誰か来たらどうすんの?怪しいでしょ、この体勢」

「大丈夫だよ。2人とも恋人いないんだし」

羽鳥は飛鳥と付き合ってるじゃん。

「飛鳥がいるでしょ!?」

「あー…あいつつまんない」

「…は?」

羽鳥は私の上からどき、椅子に座った。

「だって、キス以上のことしてくれないんだもん」

「…何それ」

「男なんて、性欲の塊だよ?」

あり得ない。

「女はそれを処理してくれればいいの」

「意味分かんないし。私、教室戻るね」

立ち上がった瞬間、腕をつかまれた。

「久々に処理できるよ、付き合ってね?」

勢いよく羽鳥の方へ引っ張られた。