それは、それは昔の物語。



そこは消毒の匂いと白に満ちた空間。


何重にも塗られた白い壁。


偽りの白に包まれた部屋。



「お父さんはなんで、運動会来てくれへんかったの?アタシ、リレーで一番とったんやに!」

廊下まで響く高い声。

「ゴメンね。お父さん・・・」

「お父さんなんて大嫌い!!」

「春ちゃん!」

少女は勢いよく部屋を飛び出した。