優斗のことがあってから数日は、美加と一緒にいないと倒れてしまいそうだった。

でも、美加の優しさのおかげで少しだけ前向きになれた気がした。

そんなある日。

「ハル!今、フリー?」

梨華が少し遠慮がちに尋ねてきた。

梨華は中学生になってから初めて出来た友達だった。

少し派手な容姿からは梨華のオープンな性格が伝わる。

今は教室が遠くてあまり会うことがないのだ。

「うん・・残念ながら」

「マジでぇ!!ならさ、今度会って欲しい人がいるんだよね!ハルのプリ見せたらさー『会いたい』とか言ってさー。よかったら会ってくんない?結構、いい人そうなんけど・・・・・」

梨華が珍しく真面目に手を合わせて頼んできた。

まぁ、会うくらいならいっか。

「あー、うん。いいよ」

「嘘!マジ!じゃあ、後でメールするね!」

「うん」

梨華はそう言ってひらひらと手を振りながら廊下の人混みの中に消えて行った。




帰り道−−−

美加がアタシの二の腕をプニプニしながら不機嫌そうに話しを切り出した。

「ハルー、梨華と何話してたん?」

「うふふ。男の話し」

「えー、私抜きでそういうのなしぃー。ハルのバカー」


美加はそう言ってほっぺを膨らました。

「美加には捺くんおるやん!」

アタシがそう言うと美加は少し照れながら、

「捺は捺やもん」

って、静かに言った。



いつもの角でアタシが『バイバイ』って言うと、美加は急に真面目な顔になって、

「ハル!無理しんでね。私も捺もずっと・・・ハルの味方やよ!ええ人と出会いなよ!」

「どうしたん?急に。・・分かっとるって!美加も幸せになれよ!」

アタシは精一杯笑うと大きく手を振って角を曲がった。




家に帰ると梨華からメールが届いていた。

『明後日くらいどう?私は土日がいいんだけど・・・。ハルはいつがいい?』

アタシは『いつでもOKやよ』とだけ書いて返信した。