「涼子さーん、お届けでーす」
すっかり酔った父を見ると
どんな態度で幹部役員とやらを
仕事しているのか疑問に思う時がある。
「はいはい、御苦労さま。
で?涼子にお届けものって何ですか?」
お母さんが慣れた様子で水の入った
コップをお父さんに渡しながら聞く。
「こ・れ・だ・よ」
語尾にハートマークが付きそうな口調で
ご機嫌に封筒をチラつかせる父に
若干いらつきながらも、素直に受け取る。
「なぁに?これ?
…え!?バイキングの招待券!!」
封筒から出てきたそれは、
一流ホテルのブフェレストランの
ディナーの招待券だった。
「奈々子さんが用意してくれたんだよ~。
夜景も綺麗だし、美味しいから
是非楽しみにしてて、だって」
そう言って水を一気に飲む父。
