約束婚<恋来い>


サーっと血の気が引いていく私を
余所に、社長と社長夫人はクスクス。

お父さんが「スミマセン」なんて
笑いながら言う。

いや、父よ。ここ、笑うところ違う。


「こういうことか」と再び笑う社長。
どういう意味なんだろうか。


でも奈々子さんに
「いいのよ、続けて?」なんて
小悪魔的笑顔で言われれば
どうでもよくなってしまった。

「うちの学校にも茶道部あります。
 近くに美味しい和菓子屋さんがあって
 そこの和菓子を使うから
 結構人気の部活なんです」


もう、いいや。
社長さんクラスの人になんて
今後会うことはないだろうし。


勝手に開き直った私は、その後
大人たちに交じって
砕けた態度で話してしまった。