と優しい笑顔でそう言ってくれた。


賢は知っていたのだ。


自分が病気である事を誰かに説明する時の辛さを。

説明した後に皆が必ず口にする『頑張ってね』の一言が辛い事。


過去に、賢自身が経験したからだ。


だから賢は私に『頑張って』とは絶対に言わなかった。
そのかわりに、私を喜ばせてくれた。

いつも笑って側にいてくれた。

その無言の『頑張れ』が私は何より嬉しかった。



そんな優しい賢に、友達とは別の感情を抱くのに時間はかからなかった。

それに…
賢って……私のタイプそのものだったんだ。


《一歳年下・背が170センチ以下・筋肉質・髪はロン毛・二重でキリッとした目》これが高校の時から、私が男の人を選ぶ基準だった。
友達には、
『海音って、男の趣味かわってるよねぇ~。普通は身長高い人がいいのにさぁ~チビが好きだなんて。』
と散々馬鹿にされてたけど。


まさに賢は私のタイプを、そのまま描写した様な人。

そんな外見で中身は優しい…。惹かれない訳がなかった。



けど...
私は賢より三歳も年上。