賢は毎日病院に来て、ずっと一緒にいてくれた。



あの日、私の事を『お姉さん』なんて呼んでたから、年下だとは思っていたけど…20歳だと知った時はさすがにビックリした。


年よりもビックリしたのは、趣味が【サーフィン・スノーボード】と全く同じだった事。

趣味が同じ私達は、まるで昔からの知り合いだったかの様に仲良くなった。


『海音~!おはよう。今日はね、海音が見たがってたビデオ見つけたから持って来たよ!一緒に見よ。』
いつも眩しい位の笑顔で病室に入ってくる賢。
『マジ!?賢、偉い!!』
『へへっ。偉いっしょ!?絶対海音喜んでくれると思ったんだ。』
そう言って賢はビデオをセットし、ベッドの隅にちょこんと腰を下ろす。



賢は必ず毎日何かを持って来てくれる。


私が大好きな、
プーさんのぬいぐるみ。

いちごのポッキー。

漫画。

サーフィンの雑誌。



賢は優しかった。



病気の事も詳しく聞いてくる事はなかった。

私が詳しく病気の事を話そうとした時、
『病院にいるんだから何かの病気なのは分かってる。だから無理に話さなくていいよ。』