賢……。



あなたはあの大勢の中から私を見つけてくれたね。。


嬉しかったよ。





『ビックリしたぁ~。』
突然声をかけられ、慌てて乗り込んだエレベーターの中で気持ちを落ち着かせた。


『あんな所で泣いたりして…しかも知らない男の人に泣き顔見られて。恥ずかしいなぁ。』
自分のとった行動を思い出すと急に恥ずかしくなり病室への廊下を足早に歩いた。


病室に戻ると安心感からか、どっと疲れてすぐ眠ってしまった。




この時は、
二度と逢う事もない。
そう思っていたよ。




けど……
二度目があったね。




偶然じゃなくて、賢が二度目を作ってくれたんだよね。。。






一週間後。


お見舞いに来てくれたお兄ちゃんを出口まで見送りに行った。

『お兄ちゃんわざわざありがと。あと本とかいっぱいありがとね。帰り気をつけてよ。』
『おう!また顔見に来るから。あんま考え込まないで寝とけよ!!』
お兄ちゃんはいつもの笑顔で手を振って帰って行った。

お兄ちゃんは三歳年上。
面倒見が良くて、頭が良くて、いつも親に心配ばかりかけている私とは正反対の優等生。