「楽ちゃん!」
そんなことを心の中で、ブツブツつぶやいていると、後ろからわたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
この声は…、とすぐさま振り返る。
「やっぱり、来るの早いね。さすが」
想太君だ。
てか、早いの!?
いやぁ、それにしてもさすがと言われると照れるな。
わたしは、ゆっくり首を横に振る。
「じゃあ、映画でも観に行こうか。」
そうわたしに言って、歩き始める想太君。
「映画かぁ。いいね」
それに答えながら、想太君について行くわたし。
「何か観たいのある?」
想太君は、本のようなものを差し出してきた。
よく見ると、それは最近上映している映画が紹介されているパンフレットだった。
物持ちがいいな、と思うわたしは、受け取ったパンフレットをパラパラを開く。
