わたしは、久美ちゃんと話していたら、前の方から声が聞こえた。
「楽ちゃーん、ちょっと来てくれる?」
その声は、部長だった。
なにかな、と思いながら、久美ちゃんに「行ってくる」と残して、部長の元へ向かった。
「何ですか?」
わたしが訊くと、部長は、申し訳なさそうに言う。
「あのね、悪いけど、外にある倉庫の中から、青色のかごを持ってきて欲しいんだけど……いいかな。わたし、腕怪我しちゃったから」
包帯を巻いた腕を見せる部長。
たしかに、これじゃあ、荷物は運べない。
そう確信したわたしは、「わかりました」とうなづいた。
「ありがとう。マジで助かる」
部長の不安そうな表情が、笑顔に変わった。
