「うん、ありがとう。そんなこと言ってくれるの、想太君くらいだよ」
男子の中では、だけどね。
でも、本当にうれしいんだよ。
「あ、初めて名前で呼んでくれた」
ニカッと爽やかに笑う想太君。
わたしは、その言葉でハッと気づく。
ふいに名前を呼んでしまった。
しかも、下の名前で。
呼ぶなら、さすがに苗字で呼んだ方がよかったなぁ。
そんな些細なところまで、ちゃんと気づいてくれるから、思わず顔がにやけてしまう。
「わたしね、バレーボール、やってて楽しかったんだ。あのときは、厳しくてやめちゃったけど、今はまたやりたい、って思う」
顔がものすごく熱くなった。
恥ずかしくて、慌てて話題を戻す。
「でも、部活じゃあもうできないし、一緒にやる子もいないから……」
あ、しまった……。
何言ってんのわたし!!
なんで、こんなこと想太君に相談しちゃってんの!?
想太君には、関係ないじゃん!
こんな話されても困るよね。
あぁ、なんかもう意味わかんない。
