翌日、3時間目が終わり、休み時間になった。
特に何もすることがないわたしは、机の中から文庫本を取り出す。
絵を描くのも好きだけど、本を読むのも好き。
わたしは、しおりではさんであるところまで、パラパラとページを開いた。
そして、読む。
すると、隣の席に誰か座ったのを感じた。
わたしの隣は、杉崎君。
背が小さくて、少しやんちゃ。
いつも、休み時間は、他の男子とプロレスごっこをしてて、席にはいないはずなんだけど……。
「ねえ」
横から、呼ぶ声がした。
声が低いから、男子だと思う。
ま、まさか……、わたし?
いや、そんなわけないよね。
今まで、全然男子と話したことないし。
きっと別の子だよ。
わたしはまた、本を読みだす。
「ねえ、楽ちゃん」
また、さっきと同じ声がする。
楽ちゃん、って。
ん!?楽ちゃん……!?
