「こんちゃん!今年は同じクラスだよ!!」
ほとんど空っぽの鞄を肩にかけて、校舎に入ろうとしたとき、なっちゃんこと七海(ななみ)ちゃんが走ってきた。
入学して最初に声をかけてくれた子で、一年生の時はずっと一緒に過ごしていたけど、二年生ではクラスが離れてしまっていた。
よかった。
一番大事な年にまた同じクラスになれて。
「こんちゃん」は、私のあだ名。
名前が今井柚季(ゆずき)だから、こんちゃん。
中学までは柚季ちゃんとかゆずちゃんとか、普通の呼び方しかされなかったのに、高校になってからは、皆からこんちゃんと呼ばれている。
皆と言ってももちろん、ある程度親しい人だけだけど。