新学期2日目、お昼になると私たちは当たり前のように、お弁当を持って集まった。
私の隣の机を借りて、2つの机を3人で囲む。
「タケルっ、そのパンどこで売ってんのー?」
女の子の声。
新しいクラスなのに、市川くんを知らない人はほとんどいないみたい。
「普通にセブンだし。セブンは二種類あるっぽいよ」
無愛想ながらも、嫌でもなさそうに市川くんが返す。
仲良さそう、だな。
明るくて、市川くんが好きそうなタイプ。
…市川くんの好みなんて、知らないけど。
女の子は教室の入り口の柱を抱きかかえるようにもたれながら、市川くんの手元を覗きこむ。
「ねぇ、一口ちょうだい!」
えっ。
突然聞こえてきた大胆な言葉を受けて、心臓が氷に触れたように、とびはねる。
やだ、やめて。
「やるかっ!ほらもう帰れ!ご飯中なの!」
市川くんに軽く怒られた女の子は、口をとがらせて席に戻った。



