それから私たちは高校生活を共にした。
それは、波瑠の一言から始まった。

「あたし・・・高校生になったらやりたいことがあったんだ」
それは、突然でいつもと違う波瑠の声にみんなが耳を傾けた。
そして、沈黙を破ったのは・・・由里だった。

「どうした・・・?そんな悩んだ顔で」
みんなが聞きたかった言葉をストレートに言った由里に驚いた。

「いや。悩んでるんじゃなくて・・・。あたしずっと
バンドがやりたかったんだよね」

あたし達の世界はきっとこのときから少しずつ変わっていたんだ。
あたし達が気づかないくらい少しずつ・・・。

「なんだ!そんなこと。いきなり深刻な声するから何かと
 思ったじゃん」
美沙の言葉でさっきの空気が嘘かのように和やかなものに変わった。

音楽かぁ~・・・きっと楽しいだろうな。

正直、音楽をやりたい気持ちもある。
そう思い始めたのは中学2年の夏だ。