春樹と小夜は、川下に流れついて、 親切な村人の助けで一命を取り留めると、 神の森と決別して、緑が原を出て行ったのだった。 その後、様々な家の手伝いをして放浪するうちに、 桜山の山番として、ようやく定住する決心をしたのだった。 ……… 冬樹は、小夜を失ったショックで、今の今までその時の記憶を 自分のこころの中から消し去っていた。 春樹は、八千代の反対に遭い小夜と駆け落ちして消息を絶ったと 思い込んでいたのだった。