優祐は、布団を片付け終わると竹刀を持って庭に出た。
朝の稽古は、一日の始まりだった。
稽古を終えて手拭いで汗を拭きながらふと目をやると、
庭の奥には緑を湛えた神の森が広がっていた。
「奥深い森だなぁ。
それにしても空気が清々しい。
身体の中から力が漲ってくる感じだ」
優祐は、竹刀を持ったまま誘われるように森に足を踏み入れた。
森は、静寂に包まれて優しい風を優祐に送っていた。
デジャヴュ・・・・・・
優祐は、この森を過去にも何処かで、見た気がしてならなかった。
生地の桜山に続く森とは異なった針葉樹の森だったが、
どこか懐かしく感じられた。
祐里の芯の強い優しさに似ている気がする。
森を見回して振り向いた優祐は、それ程分け入ってないにもかかわらず、
すっぽりと森に包まれていることに驚いた。
森の入り口が見当たらない。
今、歩いてきた径さえ途切れていた。

