神の森


「おはようございます。母上さま。朝の散歩でございましたか」

 優祐が起きて布団を片付けていた。


「ええ。おはようございます、優祐さん」

 祐里は、優祐の笑顔に励まされてほっと安堵していた。


「お台所の手伝いをして参ります。

 優祐さんは、朝食までゆっくりなさいね」

 祐里は、廊下を渡って台所へ向かった。


「雪乃叔母さま、おはようございます。手伝いをさせていただきます」

 祐里は、台所で朝食の支度をする叔母の雪乃に声をかけた。


「祐里さま、おはようございます。

 父上さまから祐里さまは、神の御子と聞いてございます。

 そのようなお方に台所のお手伝いをしていただいては、

罰が当たってしまいます」

 竈(かまど)の火加減を見ていた雪乃は、祐里の声で振り返ると

驚いた顔を向けた。


「まぁ、そのようなことはございません。

 私は、お爺さまをお送りして、お父さまがお生まれになられた地を

拝見しに伺っただけでございます。

 しばらくお世話になりますので、

どのようなことでもご遠慮なくお申し付けくださいませ」


 昨夜、初めて会った時から祐里は、物静かで森の空気のように澄んだ

こころの雪乃に好感を持っていた。