神の森

 
 光祐は、客間の灯りを消し、枕元の電燈に切り替えた。

 夜の静けさが客間を覆った。


「祐里は、何があろうとわたしの大切な妻です。

 それで災いを被るのならば仕方の無いことです。

 ただし、榊原家が存在しなければ、

祐里は生まれていなかったというのも事実です。

 神の森が守り人の交代で荒れているのでしたら、

しばらく祐里をお帰ししましょう。

 祐里の癒しの力と後を継がれる冬樹さまの力で神の森をお静めください。

 そして、神の森が静まりましたら、わたしに祐里を帰してください。

 三日後には夏休みになります。優祐を祐里の供に付けます。

 わたしが付き添いたいのですが、

今仕事を離れるわけには参りませんので」


 光祐は、祐里を離したくないと思いつつも、

八千代の顔を見つめながら、帰さなければならないと決心した。