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「…寝てる??…ずかにし…きゃ…。」

「…ん。…っき来た…寝て…。」





ぼんやりと、会話が聞こえた。

…寝てたんだ。

僕は、まだ眠くて、目を開けずにその会話を聞いていた。





「ねぇ、春風…。私、言いたいことあって…。」

「え??何…??」





…この声は、藍と佐々木だ。





「私さー…思い出してほしくない。…ハルカチャンのこと…。」

「……。」

「周は…本当にハルカチャンが好きで、死んでからもずっと好きで。…悲しそうだったもん…。」

「うん…。」

「今の周でいいと思うんだ…。周だって、きっと幸せになれると思う…。」





…幸せ??

“松本ハルカ”を忘れている僕は、幸せ…??





「こんなのひどいかもしれないけどさ……ハルカチャンのことをなかったことにすれば、新しい恋ができるじゃん…。」





藍の声は、なんとなく悲しそうだった。





「…春風のこと、好きになってくれるよ…??」

「……ッ。」

「……春風、諦めきれてないでしょ??」





佐々木は、黙ったままだった。





『諦めきれてない』って、佐々木の方が…??

僕が、じゃなくて??

別れたのって…僕の方からってこと…??