その日、僕はなんだかうかれていた。





明日はハルカの誕生日だったなぁ…。

そんなことを考えていた。





でも本当は…

…心の中にはもう一人の“春風”がいた。





四月十六日――。





いつものように朝起きて、勢いよく階段を下り、顔を洗う。

朝食を食べ、部屋に戻って鞄を取る。

玄関まで行って、僕はふと思った。





ハルカ…。





もう一度部屋へ行き、机の引き出しを開けた。





封印するように奥にしまった写真たてには、ハルカと僕が写った写真。

そして写真の裏には、まだ開けていないハルカからの手紙が入っている。





「誕生日、おめでとう。」





僕は写真に…いや、ハルカに向かってそうつぶやいた。