「あの…。」





僕は佐々木の様子を伺うように言った。





「…ごめんね。私…ごめんね…。」





佐々木はやさしい声で言った。





「…俺も大声出して…ごめん。」

「ううんッ!!悪いの、私だからッ。」

「そんなことないって!!」

「ううん、本当に…ッ」





そこまで言って、佐々木はクスクスと笑い出した。





「なんか…きりないよな。」





つられて僕も笑った。





「そうだねッ。…今日は一緒に帰れて嬉しかった。ありがとう。」

「あぁ。俺もいろいろ話せて…あの、さっきの話は忘れて!!もう昔のことだしさ…。」

「え…うん。」

「それじゃ。」

「うん、明日ねッ。」





佐々木は小走りで帰っていった。





佐々木の表情が頭に焼き付いている。

同時にハルカの顔もよみがえった。





声、仕草、全てが重なり合った。

でも…





…佐々木は、ハルカじゃない。

いつものように言い聞かせてしまう僕がいた…。