「もぉ、別にいいじゃないッ。」





答えたのは佐々木ではなく、藍だった。





「あのなぁ、友達使うなよ。」

「別に使ってないもーん。春風だって気になるよねぇ??」

「えッ??あッうん。」

「ったく、無理矢理じゃん。」





僕と藍が言い争っていると、佐々木がクスクス笑い始めた。





僕はその笑顔の奥に、ハルカが見えた気がした。





*





…なぜだろう。

最近ハルカのことを考える時間が減っていた。





「周、最近あんまりボーッとしなくなったんじゃない??あッ、もしかして新しい恋が――」

「――違うッ!!」





ある日、藍に言われて気づいたのだ。

僕は思いっきり否定したけど、それは“新しい恋”に対してで…





『ボーッとしなくなった』というのは当たっていた。