「やっぱり女の子はいいわね~。野郎二人じゃね、本当つまらないのよ」

慎兄ちゃんと一緒に帰ってきた母さんは、ものすごく機嫌がいい。
理由は綾子が来ているからで、母さんは綾子をめちゃくちゃ気に入っている。


娘が欲しかったんだと。

こんな優秀な息子二人もいて、欲張りな…


「おばちゃんね~娘が欲しかったのよ~」

「お母さん?」

「きゃああ~嬉しいわ~」

確かに二人で並んでると親子みたいだ。
好みも合うらしく、さっきは韓流ドラマの話題で盛り上がってた。


もう俺にはイだかビだか区別がつかないね。

「もう綾ちゃん毎日ごはん食べにおいで!慎ったら、本当に良いお嫁さんもら…」

「ちょっと、母さん!!」

俺のとなりで慎ちゃんが焦ってる。
耳まで真っ赤で、慎兄ちゃんには悪いけど、ちょっと面白い。

「綾、その人の言うことは気にしなくていいからな」

「大丈夫です。私は綾瀬家に嫁入りする気満々なので」

「あらあら~、嫁姑仲良くしましょうね~綾ちゃん」


真っ赤になって項垂れる慎兄ちゃん。


あのおばさんマジないわ~とか言ってる割には、慎兄ちゃんの横顔は嬉しそうだった。