俺は綾子が好きだ。
四年前から、綾子が好きだ。
片思い歴四年って、長いのかそれほどでもないのか分からないが
中坊から一人だけって、結構自分は一途な方だろ。
今までも、さっきみたいにやべー時は割とあった。
でも、言えない。
好きとは言えない。
「綾子」
「ん?」
「…なんで今日慎兄ちゃんと来なかった?」
「あ~…なんか進路の事で先生と話してて…」
ガチャ
「ただいま」
「あっ」
玄関へ走る背中。
ふわって
甘い香りがした。
「綾、来てたのか」
好きとは言えない。
好きと言ってはいけない。
綾子は、
慎兄ちゃんの彼女だから。