「今夜は色々なことが起こりすぎだ。 ケーキは盗まれるし、お前のせいで一口しかケーキ食えなかったし……」 「私も盗まれたよ。紘哉さんに」 羽兎はブツブツ言う紘哉の言葉を遮った。 紘哉は羽兎を横目で見る。 「何を?」 「それはね――」 彼女は大きく息を吸った。 「――私の心」 「……」 訪れる沈黙。 羽兎は先を続けた。