「……はい?」 彼の声に閑田羽兎(かんだ わと)は顔を上げた。 時間は午後8時。 いつもだったら家に帰っている時間だが、今日は依頼があった為、事務所に残っている。 19歳のうら若き乙女がこんな時間まで事務所に残る――仕事熱心だ。 「ケーキがない?何で?」 ケーキだったら昼にケーキ屋で買ってきた。 それ以来出した覚えはない。 「知るか!」 彼の機嫌は最悪となった。