「ん…ん……っ」


あたしに覆い被さって、黒い狼みたいに噛みつくようなキスをする。
今日はたくさんキスをしたけど、さっきしたキスより荒々しい。煽られたって言葉の通り夜が興奮してるんだって思った。
夜が興奮してる時は決まって噛みつくみたいに激しいキスをするから。

あたしだって少しずつ、わかってきたんだよ?

いっつも不思議な夜のこと。

ガマンがキライで甘いモノがキライ。
素直で正直で嘘をつかない。
パパに顔が似てて、ママに中身がそっくり。
ちょっと強引でエッチになる。
だけど、いつも愛情深くてあたしに甘い。
そんな夜が大好きで…。
もっともっと、全部知りたい。


『何にも本気になんかならなかったのに』


深い意味をわからなくていいって夜は言った。

でも、知りたい。

今は本気を出せるって意味だよね?
何に?

余裕なんてないけど、そのことが頭を離れなくてどこか上の空になっていた。


あたしは必死で考えてるのに


「ひゃ!?」


夜があたしの首筋に熱い舌を這わせて思考が止まる。


「夜…っ、だめ…!あたし、今考えてるのっ」


夜の口を手でふさいでマイペースにあたしを乱す夜に真っ赤な顔で抗議した。
夜は顔をあげると眉間にシワを寄せて、不満げな顔をした。


「ダーリンとイチャイチャするより考えることって何?にゃあさっきから上の空だし」


本気でちょっとムッとしてる夜が珍しくて、驚いた。


「ダーリンのことなんですが…」

「俺?あー、さっきの?気にしなくていーのに。……………重いし…」

「えっ!何っ!?」


最後にポソッとつぶやかれた言葉が小さくて聞き取れなくて、あたしは夜の服にしがみついた。

でも夜はこれ以上何も言う気はないようで、軽く頭を振ると何故かニマッと笑った。


「それもーいい。それよりー、俺、にゃあとエッチしたーい」


………………。



「………へ…?」