「…夜(ヨル)、子猫ちゃん困ってるだろー?」



「………!」



茶髪お兄さんの苦笑しながら言われた言葉に、彼の大きな手が…ふっとゆるんだ。



あたしはそれからスル…と手を抜いた。



そのまま二人に背を向けた。



立ち去ろうともつれそうになる足を踏み出したら



「あ…っ!」



グッと、左腕を掴まれた。



「……こら…っ!夜…っ!?」



茶髪お兄さんの慌てた声なんてまるで無視で



「名前、…なに?」



「………!」



そのあまりに真剣な黒い瞳に……



「……た…、橘…にあ……。」



抗えなくなったみたいに、名前を言っていた。



彼は、満足気にニィ…と口の端をあげると



「………!?」



掴んだ腕をグッと自分に引き寄せて………!



あたしはそのまま彼の腕の中に捕まった。



そして、あたしの耳元に唇を寄せて……









「またね……?

可愛い、《にゃあ》ちゃん……?」



「………っ!!?」










熱い吐息が耳にかかる。



彼は









ゾクゾクするような甘い声で……囁いた…………。