ピンク色の風が吹く。 咲き誇る満開の桜がこの季節の女王さながら見事な枝を広げ、 爽やかな風が吹くたびに桜吹雪が辺りをピンクに染める。 空は雲ひとつない晴天で、空色の絵具をむらなく塗ったように綺麗な青。 この暖かな良き日は入学式で あたしは今日から高校生だった。 ――――それなのに なんで…えぇっと… 「……ちょっ……!?」 「………」 焦った声をあげてるあたし。 何で、 ――――噛みつくみたいに《初キス》されてるんでしょうか?