最後に身だしなみを確認する。

エプロンの上にエプロンという、よくわからない格好だったものを上のエプロンを外していつもの制服とも言える服装になった。


頭の上には猫耳、その直ぐ下にヘッドドレス。

髪は白、瞳は紅。

流行を真っ向から否定するロングスカートのメイド服。

手には純白の手袋。

靴は動きやすさを重視した黒のブーツ。


鏡の前で少女はぼうっと自分の姿を見つめる。

しばらくそうしていたが、突然ひくっと猫耳が動いてそれに驚いたように身じろぎをした。

ひとつ、ため息。

刹那、哀しげな表情が鏡に映る。

そして、何かを振り払う為にゆるゆると首を振った。


少女は猫耳を少し触り、靴にも汚れが付いていないことを確認してゆっくり、ぎこちなく笑顔を作った。