空港には、あえて誰も見送りには来ていない。 だから、最後まで、あたしたちは、二人きりでいられる。 「ロンドンとの時差は大きいけど、なるべくたくさん電話するからな」 「うん。でも、無理はしないでね」 ロビーの椅子に座りながら、あたしは洸輝の腕に、自分の腕を絡ませた。 あ~あ、この温もりも匂いも、当分サヨナラなんだ…。