ギィーッ

鉄のサビた音がする。

ドアの開く音に気づき、こちらを振り返る男の子。

「こんにちは。」


「こっ、こんにちわ。遅くなってすみません。」

「ううん。僕も今、来た所だから」

「……」

そういえば、男の子と2人っきりになるのって佐原君以外で初めてかも…

「川中さん、大丈夫?」

「はい、大丈夫です。」

「良かった。

自己紹介がまだだったね。僕は、隣のクラスの根元(ねもと)です。」

「…わたしは、川中瑠璃です。」

「知ってるよ。入学式の時からずっと見てたから」

少しずつ距離を詰めてくる、根元君。

「えと…あの…っ」

思わず後ろ下がってしまう。


…怖い。

それでも距離を縮めてくる。


怖い…怖い…。

そして、後ろには壁が…。


「単刀直入に言うと、ずっと好きだった」

抱きしめられていた。

「っ……」
どうしてっ、声が出ない。

いやだっ…いやだっ
…っ…離してっ!

腕の力は強まるばかりで、どうすることもできない。