佐原君は黙ったまま地面を見ていた。

「…そういうことがあったんだな…。

ひどい奴だと思うけど……うーん…

多分そいつ瑠璃ちゃんのこと好きだったんじゃないかな?」

「…!そんな訳っ!」

「そんな訳、あると思うけどなー。それぐらいの子ってつい好きな子いじめたくなるつーか」


「佐原君もそうだったの…?」

「俺はー、…俺は好きな子とかいなかったからどうだったんだろうね。

…けど、もし瑠璃ちゃんと同じ幼稚園に通っていたら…助けてあげられたのになって思う」

真剣な目に思わず、目をそらしてしまう。

「だから、中学生にもなってそういうことする奴はいないと思うから。


怖がらなくて大丈夫だ。
何かあれば俺が守ってやるから」

ー…本当に優しい人。

「!」

「今、笑った…?」

えっ?

顔をさわる。

顔がどんどん赤くなるのが分かる。

恥ずかしいっ…


「るーりちゃん、また目線合わせられなくなってきてるよ。

こっち向いてよ。」


ゆっくり顔を向けると佐原君のまぶしい笑顔があった。


わたしも、その笑顔につられて笑ってしまった。

なぜか、次は佐原君が顔を真っ赤にして顔を手で隠していたー。