「おい!
 どうゆうつもりだっ!」


 珍しく皇が声を荒げて掴みかかってる。



「楓、大丈夫?!」


 真弓もすごい心配顔で、私を抱き締めてきた。




「楓はまだ病み上がりなんだ。
 無理させるな!」



 怒鳴り声をあげる皇なんて珍しすぎて。

 皇が、本当に怒ってる事に気付いた。



「――皇!……私は大丈夫だから、落ち着いて」

「楓は黙ってろ。

 この間の事といい、楓につきまとうのはやめろ!」
「皇! 誤解だからっ」



 どうしようっ!


 校門の前で繰り広げられる騒ぎに、登校中の生徒みんなが集まってきてる。



「皇、本当に何でもないのっ」


 今にも飛びかかりそうな皇を、私が必死に止めていると……
 一歩離れていた西城くんが、小さく息を吐いて、


「……お前には関係ない」


 静かな声で。

 胸ぐらを掴まれてもなお、そんな、表情を変えない西城くんに……皇の顔色が変わった。



「西城お前っ」
「やめて!?」