「お時間です」 女性の言葉に、楓はゆっくり瞳を開く。 「ありがとう。 私を彼方のところまで連れて行ってね」 ニッコリ笑って俺の肘を掴んだ。 扉のドアに、女性2人が手をかける。 「「おめでとうございます」」 言葉と同時に、扉が開く。 さっきまで聞こえていたオルガンの音が、大音量になる。 ―――涙が出そうだ。 .