「……行かせたくない」 抱き締めようと体を傾けた。 それを見て、楓は口を開いた―――が。 「ふざけんな!?」 リビング中に響き渡る怒鳴り声と足音に、その口は瞬時に言おうとした言葉を飲み込んだ。 「か、彼方!」 はい、遊びはおしまい。 「――皇! お前何してんだ!!」 ドタドタ足音を立てながら近づき、俺と楓をバリッと引き離すと胸ぐらを掴んできた。 ―――怒ってる怒ってる(笑) .