「皇……寂しくて眠れないかも……」 俺の背に腕を回して上目づかいで俺を見る楓に、俺は笑顔で頭をなでる。 「寝れないなら電話してくればいい。 楓が眠れるまで話そう」 その提案に満足したのか、俺の胸に顔を擦り付けて頷いた。 ―――行かせたくない。 離れたくない。放したくない。 「離れたく……ないな…」 一瞬、俺の思考が漏れたのかと思ったけど。 その言葉は、愛しの彼女の唇から。 .