ハチミツ×シュガー




「ははっ 寝ぐせ」


 スッと手を伸ばすと、彼女はビクリと体を震わせた。


 ……傷つくな…

 俺はズキンと痛んだのを誤魔化すように、彼女に柔らかく微笑んだ。


「シャワー浴びておいで?」


 彼女の返事を待たずに、部屋を後にする。


 ――アイツ、目を丸くしてた。

 ……てか、俺に触れられるのがそんなに嫌だったのか?



「はぁ…」


 閉めたドアに背中を預けて、大きなため息をついてしまった。



 ――もしかしたら、拒否されるかな、俺。

 かなり大きくヘコみながら、リビングへと向かう。


 ……仕方ない。


 後は、賭だ。



『ちゃんと楓から、あいつの話を聞いたのか?』



 ……皇の、あの話を信じて――。