「……なぁ、もう大丈夫なのか?」
玄関で靴を履いてると、珍しく歯切れ悪い口で聞いてきた皇。
俺が振り返ると、俺より数センチ高い位置で苦笑いを浮かべていた。
「…大丈夫っていうか……
俺、アイツがいないとダメだから。だから悪いけど、アイツが幸せじゃなくても俺は放さないよ。
……放せないんだ。
――だから…ごめんな、皇」
俺が笑顔で言うと…
「しょうがないよな。
俺にもその気持ち、判るからさ」
ははっと笑って、俺の肩を叩いた。
「じゃあな、ありがと」
皇に礼を言った後、俺は玄関を出て、エレベーターまで急いだ。
そして駐車場に着くと車に乗り込み、エンジンをかけ、すぐさま来た道を戻る。
皇から聞いた話が、頭の中で繰り返し、流れる。
――さぁ、
彼女にどう話を切り出そうか…。
.


