車を走らせて、あるマンションに着いた。
住人には先に電話で知らせてあったから、すぐにドアを開けてくれた。
「早かったな。 ――楓は?」
「……寝てる」
――今は、すでに22時過ぎ。
「ははっ あんまり苛め過ぎるなよ?」
「――うるさい。 とにかく、さっき頼んだやつ、早く書いて」
そう言った俺をクスクス笑いながら、「分かった」と書類を受け取ると、そのままリビングに向かった。
俺も靴を脱いで、奴の後を追う。
「あれ? 藤井は?」
リビングに入ると、コイツの彼女がいない。
「……そんな毎日来てるわけじゃないよ」
ダイニングテーブルで紙を広げ書きながら、苦笑いする皇。
「――ほら」
皇が書いてくれた物を受け取ると、軽く礼を言って、すぐリビングを出た。
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