『……西城くん』 今より少しふっくらしてる彼女の顔は、薄く化粧されている。 そして、綺麗な黒髪は緩く巻かれていて、着ている制服のスカートは膝丈だ。 あぁ…。 あの頃のままだ。 俺が、恋焦がれていた頃の彼女、そのままに……俺に笑いかける。 『如月…』 彼女に話しかける俺も、あの頃のように学ランを着ていた。 ――これは、夢だ。 分かってるのに…… 彼女が、愛おしくて。 過去の彼女ですらも、 愛しくて――…。 .