「ちょっ… 彼方っ?」



 彼女をいわゆる、お姫様だっこしてリビングを出た。



「きゃあ…っ」


 彼女は俺の首にしがみついて怖がってるけど。俺は気にせず、廊下を歩き進める。

 そして、ある部屋の前で立ち止まると、

ガチャッ


 両手が塞がってる中、器用にも自力で戸を開けて入った先は、寝室。




「あ… えっ?!」


 戸惑う彼女を、そのままベッドに放り投げた。



「きゃっ ――っかな…っ」


 起きあがろうとする彼女の肩を掴んで、そのままベッドに押し付ける。


「えっ …あ、えっ?」


 彼女は慌てて何かを言おうとしてるけど。俺には、聞く余裕がない。

 俺は静かに彼女の瞳をジッと見つめて……



「――今まで会えなかった分、愛してやるよ」